働き方に一石を投じる
アジア・マレーシアなど、海外向けに販売する運搬車の開発を手がけています。これまでマレーシアでは、人件費が安価に設定されていたので、機械は敬遠されていました。そのため、湿地帯など足場の悪い環境で収穫された作物は、人の手で運ぶしか手段がありません。マレーシアの代表的な農産業であるアブラヤシ農園では、油の原料となるパームヤシの実を何十キロとかごに詰め、それを背負って目的地まで運ぶという、とても過酷な作業を当たり前のように行っていたのです。ですが、新型コロナウイルスのパンデミックにより働き手が流出。厳しい労働環境にも働き方の見直しが行われ、ようやく機械が関心を得るようになりました。そこで私も現地を視察し、地面の状態など自分の足を使い、生きた情報を収集。経験に基づいた課題を持ち帰ることができました。それから試行錯誤の末、運搬機を開発し、導入。導入当初こそ致し方なく、という印象でしたが、今では作業の効率も上がっていることに気づいてもらい、現地の方の働き方に一石を投じる事ができたと考えています。
最後の最後まで自分たちの手で
就職活動では明確な目標があり、何かを意識して頑張ってきたわけではありません。正直、農業機械を作りたかったというわけでもありませんが「自分で考えて形にする」ということに以前から関心を寄せていました。なので就職活動中は自動車メーカー等、ものづくりを行っている企業も数社受けましたね。しかし、企業研究をしていく中で、自動車メーカーなどの仕事内容はヘッドライトやエンジンの一部分の設計だけであることを知りました。そうなってくると全体像が見えにくく、自身の想いとしては仕事のモチベーションが上がらない。何かの一部を作るのではなく、一貫したモノづくりに携わりたい。と思っていた自分にはマッチしないと感じていました。そんな中、最後に受けたのがオーレックです。オーレックでは最終的にこうしたい、こういう機能が欲しいというインプットがあって、それに対してどうするかを一から考える。試作して失敗、もう一度試作して失敗、トライアンドエラーを繰り返してようやく形になる。そして、試験に合格したものを生産し、梱包も自分たちで。最後の最後まで自分たちの手で行うオーレックの一貫したモノづくりに共感し、入社を決意しました。
入社2年目にして新機種を担当
オーレックは若手が活躍できる場所です。新しい機械もどんどん増えています。現在、開発部員は70名ほど在籍していますが、それぞれが何かしらの機械を担当しています。私が担当している運搬機LSにおいては国内での展開は終了、前任の設計者も不在という状況の中、入社2年目にして担当することになりました。この時私は、若手社員にもチャンスを与えるオーレックのチャレンジングな社風を実感したのを覚えています。新しい機械の製造はデザインレビュー会議(以下DR)をクリアしなければなりません。DR会議は3段階に分けて行われ、まず、プロジェクトの承認を得るDRⅠ。続いて、量産試作・量産の前段階の承認を得るDRⅡ。最後に量産の承認を得るDRⅢ。このすべての会議資料を自分で考え、パワーポイント等を使ってプレゼンします。上役への提案はとても緊張しましたが、自分の考えが認められ形になっていく過程は仕事の醍醐味と自らの成長を感じます。
多角的な視点と前向きな気持ち
新機種開発を進めると様々な問題に直面することがあります。問題に対し、恐らく原因はこれであろうと決めてかかると、原因は意外なところにあり、結果タイムロスが起こるという経験がありました。基本的なことですが、経験則や先入観だけで判断するとかえって遠回りになることもあるので、多角的な視点を持つように意識しています。あとは、やるからには楽しく、前向きな気持ちで取り組みたいと思っています。